途中経過

先日の分で、退職すると書いた。
辞表もその時点で書き上げていたのだが、翌日に出すつもりが少し予定がずれた。コメント欄にも書いたのだが、直接の上司から慰留されてしまい、少し考えてしまったからだ。
だが、辞める気持ちは少しも目減りしなかったため、タイミング的に週末が良いだろうと決め、金曜日に営業部門を管掌する専務に提出した。



ところが、週が明けて、少し雲行きが怪しくなってきた。
早期希望退職者募集がかかって以来、退職を希望した者が、募集の枠を超えてしまったらしい。
会社側としてはそこまでみんなが辞めたがっていたとは考えもしなかったようで、というより専務の思惑が甘すぎたというべきで、ここにきて慰留される者が出始めた。
退職希望を募っておいて、特定の人間を慰留するのは仁義にもとることはなはだしい、という考え方も出来るが、一方で、できるだけ有能な人間には社に残留して欲しいと会社側が考えるのもまた当然のこと。
私はというと、今のところ正式に慰留されてはいない。
辞表を提出したのが先週末であったため、その時点ではまだ枠に達していなかったから、専務なども「まあ辞めるものは仕方ない」とのんきに構えていたからだろう。
慰留された人間は今のところ二人、どちらも辞意を伝えた段階で慰留されていたから、仮にまだ辞職者が増えるようなら、辞表提出が済んでいる者に関しても、選別しての慰留工作が始まることが予測できる。
私は一種独特の立場にいるため、その局面に至った場合、慰留者リストの上位に上げられる可能性が高い。というのも、業務の都合上、会社の機密に触れる機会が多かった上、抜けた穴を埋めるのが他の部署に比べて難しいということもあるためだ。



退職希望の期限は今週末。
その時点で果たしてどれだけの人間が応募しているかによって、またそのリストの顔ぶれがどのようになっているかによって、局面は大きく変化してくる。
あるいは、本気で辞めようと思ったら、募集条件の「基本給×5〜6ヶ月」分の退職金を放棄させられるような事態にもなりかねない。そのようなことが法的な面でどうなのかを私は知らないから、対処の仕様も無いのだが、こちらも生活がかかっている話だから、勢いだけで「知ったことか」と突っ張り続けられるものでも無い。



いずれにせよ、今回の不手際や脅し文句(すでに退職金が払えないかもしれないという脅しは使われている)を聞くにつけ、信頼も信用もできないような人間の私物と化している企業に人生を委ねるなど暴挙である、という考えが一層揺るぎなくなっているから、退職の意思を引っ込めることなどありえない。
出来ればきれいに去りたいが、場合によってはどんな喧嘩でも買ってやろう、とアドレナリンの分泌量が高まっている月曜日の夕方なのだった。