2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

チューリングその5

戦争が終わると、チューリングには次の職場が待っていた。 彼がケンブリッジ大学に戻る気でいたかどうかは不明だが、国家は彼に物理学研究所に入るよう指示し、そこで新たなコンピュータ開発計画に携わることになった。 彼が戦前にコンピュータの基礎理論を…

チューリングその4

連合国軍にとって、暗号解読の必要性の重要度は上がる一方だった。 それは、ヨーロッパ戦線に限ったことではない。 ヨーロッパ戦線にも、また対日戦にも手を出さざるを得なかったアメリカは、イギリスが誇る暗号解読技術を欲しがった。 ブレッチレーの暗号解…

チューリングその3

1939年9月、それまでにオーストリアを吸収しチェコスロバキアを保護領化していたナチス・ドイツは、ついにポーランド領内に侵攻を開始した。 ポーランド侵攻は、ポーランドと軍事同盟を結んでいるイギリスやフランスに対する宣戦布告と同じ意味。イギリス、…

チューリングその2

1912年6月、アラン・チューリングはロンドンに生まれる。当時イギリスの植民地だったインドに役人として渡っていた父は、アランが生まれると任地に戻り、母もしばらくすると幼い彼をロンドンに残して父の元へ行く。幼いアランは、乳母や両親の友人、親戚など…

チューリングその1

ジョン・フォン・ノイマン、クロード・シャノンと並び、現代のコンピュータ科学の父とも呼ぶべき存在が、このチューリングという男。世界で始めて、システムとして実用化されたコンピュータを作ったのが、このチューリングのチームだった。 アラン・マシスン…

妹の疑問

たまに、妹がメールを送ってくることがある。 妹は実家がある山形県内で結婚していて、すでに言葉もはっきりしてきた娘がいる。 私は独身の首都圏住まいだから、「今度の連休は帰ってくんの?」「正月は帰ってくんの?」などの帰省に関する確認事項がほとん…

疑問

なぜか知らないが、このところ、時事ネタも萌えネタも扱わない、しかもぷっつりと電池切れのように平気でひと月くらいは停止するこのブログに、来客が増えているようだ。 ちょっと前に「地下鉄で〜」という2ちゃんねるのスレのまとめサイトをリンクしたこと…

ティベリウスその4

引きこもり、そして老いたとはいえ、ティベリウスの統治者としての感覚は衰えていなかった。 セイアヌス粛清劇などは、タキトゥスに陰険だとののしられようが、鮮やかな手並みだった。 衰えがあったとすれば、それは彼の人間というものに対する寛容さだった…

ティベリウスその3

本題に入る前に。 ティベリウスは、弟ドゥルーススを嫌っていたという説がある。私はその説に与しない。 その1の中でも書いたことだが、私には、ドゥルーススの存在あってこそティベリウスが奮闘できた時期が、確かに存在したと思える。 兄弟の仲がそううま…

ティベリウスその2

ロードス島隠棲以前の彼は、帝国北方の防衛体制確立のため、ドナウ川以南の領域、現在のブルガリアやセルヴィア・モンテネグロのあたりを平定するべく軍団を率いていた。 ロードスから帰還した彼を待っていた戦場は対ゲルマン戦線だった。 カエサルのガリア(…

ティベリウスその1

ティベリウスは、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが熱愛の末手に入れた人妻リヴィアの、連れ子だった。 実の父はクラウディウス・ネロの名を持つスーパー名門貴族。妻と子供(ティベリウスと弟ドゥルースス)を時の権力者であるアウグストゥスに譲った、その…

帝政草莽期の男たち

以前、別のブログを書いていたときに、歴史上好きな人間として、古代ローマ帝国の二代目の皇帝、ティベリウスという男についてしつこく書いたことがあった。 このブログで「鉄血宰相」ビスマルクを書いたが、どちらが好きかと問われれば、ティベリウスの方が…

初代高橋竹山

特に三味線などの和楽器に興味があるわけでも、民謡を聞く趣味があるわけでも、身近にそういった嗜好を持っている人間がいるわけでもないのだが、津軽三味線奏者の初代高橋竹山の音だけは、好んで聞く。 きっかけは、いつだったか、深夜、つけっぱなしにして…

昨日の続き

要するに、今日もちょっと書ける状況じゃないという話なのだが。 前項で取り上げたネタは、「泣ける2ちゃんねる」の系譜を受け継ぐようなものと考えていいが、単発で終わらないところを考えれば「電車男」の系譜と考えた方が正解。 私が読んでどうなったかと…

スレ紹介

ちょっと色々と不調なので、今日は2ちゃんねるのスレ保管サイトを紹介してお茶を濁してみたりする。 人によっては泣ける。人によっては途中で投げ出す。 私は電車男の方が2chらしくて好きだが、これはこれでありだと思う。ちなみにネタだとは思っていない派…

キス

今日は趣向を思いっきり変えて。 といっても、自分が気に入っている様々なものを書いて行くと宣言した、そのことに反してはいない。様々なものを書く。それが、たまたまハードやソフトではなく、行為だというだけの話。 一般に、男性より女性の方がキスを重…

銀河英雄伝説

田中芳樹、という小説家の本を、以前は好きで結構読んでいた。今は読んでいないのかというと、読んでいない。 理由は簡単で、彼の筆が異常に遅くて、読むものがないからだ。また、彼の創作力もこのところはっきりと衰えている。あまり新作が出ても読む気がし…

本をいくつか

好きな小説について書こうと思っていたのだが、何冊か思い浮かべては断念する羽目になった。 理由は簡単で、内容が書けないからだ。 たとえば、「エンダーのゲーム」というSFの傑作小説がある。これが傑作と呼ばれる所以は、なんといっても最後のどんでん返…

水野蓉子

私は作品名よりも、その作品の登場人物を重点的に取り上げるということをしたことがない。そこまで入れ込めるキャラクターが無かったということなのか、行為自体が気に入らなかったのかは微妙なところだが、とにかくした記憶が無い。 いや、ひとつだけあった…